佐藤さとるさんによるフキの葉の下に集まるといわれる小人たちの物語、それが矢じるしの先っぽのコロボックル小国を舞台にした、コロボックル・シリーズです。人と話をしている時に「本を読むのが好きです」と言うと「どんな本が好きですか」と聞かれることがよくあると思います。こんな時、ボクが自信をもって挙げることが出来る本。それが「だれも知らない小さな国、佐藤さとるさんのコロボックル物語のシリーズ」です。コロボックルというのはアイヌの神話に登場する小人さんでアイヌ語でコロポックルともいい、フキの下にいる人という意味になります。アルファベットでの綴りはKorbokkurまたはKorpokkurになります。ちなみに、コロがアイヌ語でフキの葉、プックが下の、クルが人々という意味です。そうそう、フキはアイヌ語でコルコニ(korkoni)というそうですフキは漢字では蕗と書き、英語ではJapaniese butterburと言いい、日本原産のキク科の多年草です。
多くの男の子が1度はあこがれる秘密基地。その内のどれくらいの子が実際に作るのでしょうか。結構な数の人がなんらかの秘密基地を作っているんじゃないかなと思います。そしてその気持ちを大人になっても持ち続けている人はどの位いっぱいいるのでしょうか。とりもちって1度は手にとっていませんか。後にセイタカサンと呼ばれる少年が小山を見つけた元々のきっかけはとりもちを取る事が出来るもちの木を探す事でした。ボクの家のまわりには少なくともボクが知る限りではこの様な木はありませんでした。そこで代替として使ったのが布製のガムテープです。
佐藤さとるさんは1928年、神奈川県生まれ。1959年にデビュー作『だれも知らない小さな国』を自費出版。同じ年に講談社文庫より出版。私家本の発行元はコロボックル通信社となっているそうです。コロボックル・シリーズは講談社よりハードカバー、講談社文庫、青い鳥文庫のそれぞれから発売されています。ただし講談社文庫は現在絶版となっています。挿絵のほとんどは村上勉さんです。
2011年11月29日に書店で見かけたのがだれも知らない小さな国の講談社文庫復刊版でした。新たな後書きが追加された物がシリーズとして全復刻とのこと。大興奮です。
普段からよく行く地元の本屋の棚に少し大きなサイズで見慣れた絵の本が置いてありました。手に取って眺めてみるとお馴染みのコロボックルというタイトルと村上勉という名前ともう1つ、有川浩という名前でした。2014年4月19日のことでした。『コロボックル絵物語』(Colobockle Picture Book)です。えっ、まさか。でも、なんとなくわからなくもない。そんな感じでした。検索してみると2011年8月にはすでにそういう話になったいたんですね。その話の最初の1歩がついに世に出たということなのでしょうか。そして絶版という紙の書籍についてまわる問題に対する1つの対応策という戦略的な側面をもつ1冊でもあるようです。