電子書籍への誘い vol.002 2000/05/28 =================================== http://www.renya.com/textware/mag002.txt  renya.comが発行しているメールマガジン『電子書籍への誘い』はウェブサ イト『電子書籍という潮流』を主たる母体とした電子書籍に関する総合メール マガジンです。  [01]:れんやが電子書籍へ注目する理由  [02]:e-NOVELSが会社化  [03]:Adobe PDF Merchant  [04]:電子書籍関係のニュース  [05]:ebook-s『電子書籍への灯台』開設  [06]:MLへのご招待  [07]:編集後記  [08]:奥付 [01]:れんやが電子書籍へ注目する理由 ----------------------------------- http://www.renya.com/textware/textware.htm#feel  ボクが電子書籍に注目する理由は大きく分けて2つあります。1つ目の理由は 今まで発表の機会がなかった多くの人や作品が発表の機会を得る事が出来ると いう点 です。そして2つ目の理由は紙という有限の物質から解放された結果、 今まで以上にいつでもどこでももっと自由もっと沢山に読書が楽しめるのでは ないかという点です。 ●発表の機会の向上  従来の紙の書籍ですとあらゆる面において膨大なコストがかかるため、書籍 を発表出来る人となるとどうしても1部の人々に限られてしまいました。しか し今は製作の面においても流通の面においても普通にパソコンを使ってインタ ーネットに繋いでいる人なら新たなコストはほとんど発生することなく、自分 の作品を発表する事が出来るようになったのです。それを整理し、ある程度体 裁を整えた物、それが電子書籍だと思うのです。  個人的に自分の作品を発表する際に便利な事の1つに、自分の字の汚さが関 係ないという事もあります。中学時代に書いた小説を人に読んでもらう際の最 大の問題点は書かれた字の読みにくさでした。パソコンなどの画面に表示され る字は印刷された紙ほどではないにしろ、少なくともボクの書いた字よりはは るかに読みやすいものです。また、もしそれでも読みにくかったら、印刷して 読むことももちろん可能ですしね。 ●自由な読書  紙の書籍ではいくら文庫本とはいえ、旅先に持っていけるのはせいぜい数冊 だと思います。しかし、HP200LX、PalmシリーズやZAURUSシリーズなどのモバ イルマシンを利用することにより大量の書籍データをそれこそ何十冊でもコン パクトに持ち運ぶ事が出来ます。  実際に現在愛機HP200LXにお気に入りのウェブノベルをプレーンテキスト化 したものを何冊も入れて、ちょっとした時間にLogExpressという秀作ソフトで 読んで心をなごませています。  ポケットボードの登場によりどこでもメールという事が一般的になり、着信 メロディーにより手軽に自作音楽を楽しむという事が一般的になった今、どこ でも手軽に電子書籍による読書が楽しめるというHP200LXを使っているボク達 にとっては当たり前の事が更にもう1つ一般的になればいいなと思っています。  このように自由さを求めているため、ボクは独自形式や暗号化技術に関して はかなり懐疑的な見方をしてしまっています。  データコンバートが容易であるというのが電子書籍の大きなメリットの1つ です。しかし独自形式や暗号化などはそのメリットの芽を摘み取ってしまうの ではと危惧しているのです。 [02]:e-NOVELSが会社化 --------------------- http://www.renya.com/textware/textware.htm#enovels  日刊工業新聞の2000年5月19日の一面に「電子書籍配信・作家の主導で」と いうことで、e-NOVELSという電子書籍の専門会社が設立されるという記事が掲 載されました。その記事によると、資本金は1000万円で井上夢人氏や我孫子武 丸氏などの個人作家が70パーセント、アスキーが10パーセント、その他を出版 社が負担という出資比率の予定。e-NOVELSは1999年夏に任意団体を設立してイ ンターネット上で電子書籍の試験販売を行ってきていて、現在は12人の作家が 参加していて、アクセス数は週に25万ページビューを記録。発表・未発表・絶 版を問わず1000作品を目標にPDF化し、100円から500円でダウロード販売をす る、とのこと。  ちなみに、e-NOVELS(イーノベルズ)のウェブサイトである http://www.e-novels.net/ は1999年11月1日に開設され、開設初日には10万を 超えるアクセスを記録しました。その直後の14日に朝日新聞で紹介されたのを ご覧になった方もいるのではないでしょうか。12月20日からWeb Moneyでの販 売を開始、2000年の4月にはSo-netの有料コンテンツサービスの1つとしてSo-n etのIDを持っていれば、通常の接続料/情報料と一緒に引き落とされるように なりました。So-netの情報会員にはクレジットカードさえあれば入会料や基本 料などはかからない為、事実上のクレジットカードでの決済となっていると思 います。  出版社が主体となった電子書籍コンソーシアムは事業化の目処がたたないま ま、解散してしまいました。これは著作権保護を過度に意識するあまり、シス テムがそもそも普及する可能性がかなり低いものだったので、やむを得ないも のだと思います。今度は作家個人が主体となってのプロジェクト。その反省を 生かしていってほしいと思います。  この記事を書いていて思った最大の事は、法人化に関する情報がオンライン で見つからないぞ〜ということでした^^;。 [03]:Adobe PDF Merchant ----------------------- http://www.renya.com/textware/textware.htm#pdf  2000年5月17日にアドビシステムズは電子出版向けのPDFの暗号化ソフトAdob e PDF Merchant(アドビ ピーディーエフ マーチャント)日本語版を発表しまし た。これはPDF形式で作られた電子書籍を暗号化し、それを復元する為のライ センスキーを発行する事が出来る電子書籍出版の為の暗号化ソフトです。閲覧 にはAcrobat Readerと専用のプラグインWeb Buy(ウェブ バイ)が必要となりま す。ちなみに、このPDF Merchantは出版社や書店などへの契約販売のみとなっ ています。もちろん、この秋から配布開始予定のWeb Buyは無償提供の予定で す。  ライセンスキーはパソコンのCPU IDやHDD、ユーザーIDなどが埋め込まれて いて、同一のパソコン以外では閲覧出来ない仕組になっています。また、暗号 技術はRSA社のRC4 128ビットとなっています。  PDFはVersion 4.0からフォントの埋め込みが出来るようになりました。これ は、異なるマシンでも作者のイメージに近い画面で読者に読んでもらえるとい う事です。これは自分の表現にこだわりを持つ作家にとってはうれしいもので す。また今回の暗号化技術により電子出版に一層の弾みがつくのではないかと 期待します。  ただ、個人的には今回のこの技術では購入した電子書籍を固有の1つのマシ ンでしか読むことが出来ないと思われます。これでは、著作権保護にばかり重 点が置かれて世みたい時に読みたい場所で自由に読みたいという電子書籍への ボクの期待の重要な要素が損なわれてしまうのではとちょこっと危惧も抱いて います。 [04]:電子書籍関係のニュース --------------------------- http://www.renya.com/textware/ ●スティーブン・キングの電子書籍  米国の有名ホラー作家スティーブン・キング(Stephen King)氏の最新作がサ イモン&シャスター社から電子書籍として販売されました。この作品はRiding the Bulletという題名で紙の書籍にした場合66ページ程度の長さで値段は2ド ル50セント(約270円)とのことです。また販売開始後48時間で約50万部を販売 したとのことです。アクセスの集中でサーバーがダウンするなどのトラブルも あったということで、その人気ぶりがうかがわれます。 http://www.renya.com/textware/news.htm#stephen ●ぷりぷり  2000年4月18日に発表された情報によると、株式会社ブッキングと株式会社 まぐまぐの親会社である有限会社ユナイテッドデジタルの間でメールマガジン を書籍化しようという取り組みが行われようとしています。これはPOD(Publis hing On Demand)と呼び、まず、6月中旬にまぐまぐオーディションと呼ばれる イベントを展開し、その後募集作品から選抜したものをPODにより製作し販売 するとのことです。  またWeekly Mag2では2000年4月19日号でこの『ぷりぷり』というサービスを 株式会社まぐまぐと株式会社ブッキングの共同で提供する事を発表しました。 これは『まぐまぐ』で発行されているメールマガジンの書籍化やオーディショ ンを開催し、新しい作家やライターの発掘をするなどとなっています。そして、 これらの動きを新出版と呼ぶそうです。 ●ポケットパピレス  電子書籍のダウンロード販売で着実な歩みを続けている株式会社フジオンラ インシステムが展開しているパピレスが2000年3月から開始したサービスが携 帯端末向けの電子書籍ダウンロードサイト、ポケットパピレスです。ここでダ ウンロード購入した作品はそのままZAURUSやWindowsCEといった携帯情報端末 で読むことが出来るとの事です。  ZAURSUで読むにはTTVブックリーダ、WindowsCEで読むにはブックリーダーと いうソフトがそれぞれ推奨されています。ダウンロード購入にはSSL(Secure S ockets Layer)に対応したブラウザが必要になります。 http://p.papy.co.jp/ ●電子書籍コンソーシアム解散  商業化を目指して実証実験を行っていた電子書籍コンソーシアムが商業化の 目処がたたないまま、2000年3月末で解散しました。電子書籍に関してウェブ サイトを作り始める際のきっかけの一つとなったプロジェクトの道半ばにして の解散はとても残念です。 http://www.ebj.gr.jp/ ●第3のe-text  まぐまぐで行われた文学をメールマガジンで配信するという全日本文学(e-t ext)全集、グーテンベルク21による落語を配信するというe-textに続き、iモ ード向けのe-textがWritingSpaceから登場しました。 http://www.mag2.com/m/0000010863.htm http://www.gutenberg21.co.jp/rakugo.htm http://www.writing-space.com/etext/ ●電子文庫パブリ  角川書店、講談社、光文社、集英社、新潮社、中央公論新社、徳間書店、分 藝春秋の8社が共同で電子文庫パブリというインターネットモールを開設し、 電子書籍のダウンロード販売を展開するとの話しがあります。 ●東京国際ブックフェア2000  東京国際ブックフェア2000が4月20日から23日にかけて東京ビックサイトで 開催されました。 ●電子書籍の悦楽が更新  電子書籍という潮流と連係している姉妹サイトである電子書籍の悦楽が今ま で1ページで表示していた内容をテーマ別にそれぞれ独立したページに変更し ました。  えっ、ということは、renya.comの該当もリンクも変更しないといけないっ て事ですね。 http://www.ayati.com/book/ [05]:ebook-s『電子書籍への灯台』開設 ------------------------------------ http://www.renya.com/l/ebs/  eGroupsにebook-s/電子書籍への灯台というグループを開設しました。これ は多くの人に自分が知っている電子書籍に関するウェブサイトを紹介してもら うためのリンクのページをメインに利用したいと考えています。  自分なりに電子書籍関係に関しては随一のリンク集を作ろうとしていますが、 なかなかそうはいかないのが実情。そこで、多くの人にもリンク作りに参加し てもらえればと思い、開設しました。  自由にリンクの登録をしてください。また、サブフォルダーなども勝手に作 ってもらえればと思います。  現在メッセージの投稿は管理者のみとしてこの電子書籍の誘いを投稿してい ます。もしこのグループにメンバー登録した場合は2重に送られる事になりま すので、もしあれでしたら『まぐまぐ』版の方は解除していただけたらと思い ます。  なお、自由なメッセージの投稿は電子書籍への飛翔をご利用ください。  リンクを共有する方法は他にも自分でCGIを走らせるとか、色々と存在する ブックマークサービスを利用するという方法もあったのですが、今回はeGroup sにしてみました。もっといいところがあるとという方、ぜひ紹介してくださ い。 ●関連URL eグループ : ebook-s Links http://www.egroups.co.jp/links/ebook-s/ [06]:MLへのご招待 ----------------- http://www.renya.com/textware/ml.htm  renya.comでは電子書籍に関する事なら、データ形式の話しからウェブノベ ルの感想まで何でもO.K.のメーリングリスト『電子書籍への飛翔』を開設して います。  参加の方法は ebook-request@a2.easyml.com 宛に join "renya"  のrenyaとinfo@renya.comをそれぞれご自分の名前とメールアドレスに書き 換えたものを本文に書いて送信してください。  ぜひこのメールマガジンの感想などをお寄せ下さい。 ●関連URL メーリングリスト『電子書籍への飛翔』 http://www.renya.com/textware/ml.htm [07]:編集後記 ------------- http://www.renya.com/textware/mag002.txt  すいません。まずはじめのお詫びします。創刊号が3月8日に発行されて以来 の発行となってしまいました。隔週を目標にしているとしているのに、この体 たらく。本当にどうも申し訳ありません。  えっと、一応言い訳をさせていただきますと、創刊号発行後、7ヶ月間の米 国短期留学を終え帰国しました。しかし、実家のインターネット環境及びパソ コンの環境が整うのにおよそ1ヶ月がかかってしまいました。そして、その間 大学を卒業し、地元の某企業に就職しました。慣れない生活ということで、就 寝時間がとてもはやくなり、パソコンに触れられない日が続いていたのです。 ようやく近頃になって少し余裕も出来たので、再び動き始めたというわけです。  音楽のオンライン販売に関する話題が色々と出てきました。この動き、電子 書籍の立場からもとても注目しまた期待しています。なぜなら現在ではまだま だ敷居の高いオンライン決済など、音楽のダウンロード販売で生まれたインフ ラはそのまま電子書籍のダウンロード販売にも応用出来るはずだからです。  スティーブン・キングの短編小説オンライン販売、ポケットパピレス、e-NO VELS、ぷりぷり、日本文学(e-text)全集iモード版、等といった話題や、電子 書籍コンソーシアムの解散、等々と電子書籍の世界では今様々なニュースがあ ります。  今後も様々なニュースが生まれてくると期待しています。そんなニュースを しっかりと取り上げていきたいです。  ちなみに、今年2000年はグーテンベルクの活版印刷が生まれて600年。とい うことらしいですね。聖書を多くの人に読んでもらいたいという気持ちから生 まれた活版印刷技術。当時の人々の中でどれくらいの人が今ほど書籍が流通す ると考えていたでしょうか。電子書籍というのも一見すると夢物語のような感 じもしますが、十分に実現可能な話しだと思います。しかしだからこそ、夢を 持ち続けることと共に一方で地にしっかりと足をつけた着実な歩みこそ重要な のではないかと考えます。  そうそう、次号ではウェブノベルに関するハブサイトを取り上げられたらと 考えています。 [08]:奥付 --------- http://www.renya.com/textware/mailmag.htm  電子書籍への誘い vol.002 2000/05/28 (Since 2000/03/08)  Copyright (C) 2000 by renya.com All rights reserved.  e-mail address:info@renya.com  電子書籍という潮流 http://www.renya.com/textware/  電子書籍への誘いは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』及びeGroups のebook-sグループを利用して発行しています。  『まぐまぐ』でのマガジンIDは0000027186です。( http://www.mag2.com/ )  登録及び解除は http://www.renya.com/textware/mailmag.htm で出来ます。  2000年3月8日に発行したvol.001の購読者数は386人でした。 $$