風の谷のナウシカ。1984年に発表されて以来現在も賞賛されている不朽の名作。
監督はルパン三世・カリオストロの城以来4年半ぶりの劇場用長編を手がける宮崎駿氏。プロデューサーは高畑勲氏。そして音楽は久石譲氏というスペシャルユニットにより制作された。
火の七日間と呼ばれる最終戦争の後も人類は生き延びた。しかしそれから1000年後、地上の多くは腐海(ふかい)と呼ばれる蟲(むし)が守る森に覆われている。障気(しょうき)マスクを付けないと五分で肺が腐ってしまう死の森、腐海。その腐海が発する毒を恐れながら人類は生きてきた。そして、人は幾度も腐海を焼き払おうと試みた。しかし、その度に王蟲(オーム)の群れが押し寄せ、そして腐海は広がった。なぜ腐海は生まれ、そして存在しているのか。
人は腐海を焼き払う事が出来るのか。人は腐海と共生出来るのか。
腐海のほとりにある小さな王国、風の谷。国というにはあまりにも小さく、村というの方が正しいようなそんな小さな国はそれでも、年老いた国王と王女ナウシカを中心に貧しくとも笑いに満ちた豊かに暮らしていた。
ナウシカとは、ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」に登場する堅琴と歌を愛するパイアキアの王女の名前。
宮崎駿が原作と脚本、そして監督をし、高畑勲がプロデューサーを務めた。アニメーションを文化にまで高めた作品。
月刊アニメージュで連載されていた宮崎監督の同名の漫画の映画化ということになるが、この作品は若干他の作品と趣きが異なる。映画化に持っていくための舞台作り、映画が終った後は、映画で表現仕切れなかった事を表した作品となっている。
『風の谷のナウシカ』には『Nausicaa of the Valley of Wind』以外にも『Warriors of the Wind』という悪名高い英語版のタイトルが存在する。『風の戦士』と訳すしかないこのタイトルは1985年にニュー・ワールド・ピクチャーズという配給会社によってオリジナルよりも20分もカットされ、またナウシカはザンドラというように登場人物の名前も改変させられ、セリフやストーリーまでねじ曲げられたもの。
「もう、誰も殺したくないのに」
トルメキアに占領された日の夜、地下室でユパに漏らしたナウシカのこの言葉。この言葉にナウシカの思いのすべてがあると思う。
それが子供であっても老人であっても、自分の身近な人、谷の人であっても、侵攻してきたトルメキア兵であっても、そして腐海の蟲達でさえもナウシカは殺したくないと願う。
心優しき少女、ナウシカ。それゆえに彼女は苦しむ事になる。
その者、蒼き衣を纏いて金色の野に降り立つべし。
失われし大地との絆を保ち、ついに人々を蒼き清浄の地へ導びかん。
火の七日間を引き起こした巨神兵。自らも火の七日間ですべて滅んだはずだった。しかし、ペジテ市の地下で1000年眠り続けてきた者がいた。
綺麗な水と土では腐海の木々も毒を出さないのです。
汚れているのは土なんです。誰が世界をこんな風にしてしまったのでしょう。
月刊アニメージュ1982年2月号より何度かの休載を挟み1994年3月号で完結した連載漫画。それが漫画版・原作『風の谷のナウシカ』です。
ナウシカ | 風の谷の王女 |
ユパ | 辺境最強の剣士 |
ジル | 風の谷の国王。腐海の毒に犯されている |
ミト | 風の谷の城オジを務める |
大婆様 | |
ラステル | ペジテの王女 |
アスベル | ラステルの双子の兄 |
クシャナ | トルメキアの辺境派遣軍司令官 |
クロトア | クシャナの参謀 |
テト | ユパが救いナウシカが飼っているキツネリスの子供 |
クイ | ユパが乗っている馬 |
カイ | ユパが乗っている馬 |
メーヴェ | エンジン付きの凧 |
ガンシップ | 小型の戦闘機 |
コルベット | 中型の戦闘機 |
ブリック | 貨物船 |
バージ | 小型の貨物船 |
風の谷 | 辺境の地にある小さな国。海から流れ込んでくる風で守られている |
ペジテ | 辺境にある都市国家 |
トルメキア | 西方にある強大な軍事国家 |
酸の海 | 風の谷の山向こうにある強酸性の湖 |
巨神兵 | 1000年前に火の7日間で世界を滅ぼした |
腐海 | 蟲に守られている人間にとっては死の森 |
王蟲 | 蟲の中の王 |